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アイドルマスター ミリオンライブ!3 がよすぎた

良い。ジュリアが格好よくて、翼が凄くて、そして瑞希が頼もしい。

(以下に割とゴリゴリとネタバレ的な内容を含みます)

漫画

この巻はすごくて、まず何が凄いかというと未来と静香が徹頭徹尾脇役なのである。1巻は主人公未来の物語で、2巻は未来と静香の物語で、予告を見る限り4巻もまた未来を真ん中にした物語なんだけど、3巻の未来と静香はあくまでずっと脇役で、翼にばしーんとスポットライトを当てて、そこに対照的なジュリアをぶつけて、その2人だけでは破綻するところに瑞希が入って、翼を真ん中にしたこの3人の話だ。通常版の表紙はこの3人だけど、まさに表紙通りのなかみ。

翼はマイペースで、アイドルになりたい動機が不純で、甘ちゃんなんだけど、実力はナンバーワンで本気を出せば抜群のパフォーマンス。ジュリアは歌にストイックで、なんでアイドルになったのか悩んでて、ダンスはからっきし。いかにも噛み合わなさそうで実際噛み合わないんだけど、崩壊寸前のところを瑞希が留めてくれて、そしてジュリアが翼の無邪気な可能性と向き合って、「アイル」になる。夢物語もずば抜けた可能性と仲間の支えがあれば、どこまでも魅了していく輝きになる。
実は翼は本質的にはこの話の最初と最後で大きな成長があったとかじゃなくて、ジュリアと瑞希が作ってくれた舞台でギラッと一発輝いただけなんだけど、そこから成長するのは多分今後のお話なんじゃないかなぁと思う。3巻の翼は持て余してた力を一発ガツンと見せつけてやっただけで、765プロ ALL STARSを含めたみんなをあっと言わせるだけの力を既に持っているんだ。

ジュリア。この巻の主役は翼ということになってるんだろうけど、贔屓目も含めるとこれはジュリアの話でしょと個人的には言いたい。もともと自分が立つはずだったステージのメインに自分ではなく翼を立たせてライブに臨むのは一見すると翼に一歩譲って後ろに下がるようだけど、読んでて全然そんな気はしない。ジュリアが後ろに下がったのではなくて、ふわふわしていた翼をジュリアと瑞希が捕まえてステージの真ん中に導いていってるし、何より曲始まりの1コマだけで滅茶苦茶格好いいのだ。
翼の成長の話をしたけれど、ジュリアは対照的で、最初はやる気無かったダンスを最後は意欲出してみたり、最初はイラついていた翼と瑞希に取り持たれて向き合ってみたり分かりやすく成長と変化があって、この話をジュリアの話と見てしまうと綺麗なジュリアの1ステップの成長物語になっていてよかった。
あと、この話に出てくるジュリアは(翼と比べて相対的に)大人で、カッコいいシンガーで、というポジションをずっと貫いてるんだけど、読む上で忘れちゃいけないのはジュリアも16歳ということで、16歳「なのに」こんなにかっこいいのと同時に、16歳「だから」こんなに青臭いんだろーな、というのもあわせて読むと、20代も後半の身からするといろいろ感じ入るところがある。

この話の瑞希は一見冷静で、不思議ちゃんで、意外と勝負師で、2人がそれぞれ見えてないところが見えていて、そしてこの即席ユニットに献身的。2人と比べると一歩引いた場所に立っているけど、随所で存在感をきっちり見せて、思った以上に頼もしい。その存在感に「脇役」と呼ぶのも失礼だけれど、一見合わなさそうなジュリアと翼がチームたり得てるのは瑞希がいてこそで、まさに名脇役という働きぶりだった。
その働きっぷりに弱点なしかという感じもあるんだけど、瑞希が主役の特別編で悩んであれこれしてみるところが描かれていたりして、頼もしいけれど謎っぽかったところにリアリティを与えてくれた気がしてなおよかった。

あと印象的なのは美希で、似たタイプの翼(メタ的に明らかに翼はそういう立ち位置だ)に対してトップアイドルのカッコいい先輩としてズバズバ決めていて、ちょっと笑っちゃうくらいのレベルの違いがあってすごい。ミリオンライブにおけるいわゆる本家765組は全員「トップアイドルのカッコいい先輩」なんだけど、ここまでカッコよすぎるとちょっと戸惑うくらいで、眠そうで「あふぅ」とか言ってるのまで大物っぽく見えるからおもしろい。今回の翼の顛末はアニメ前半クールに美希が竜宮小町に入れて貰いたくて入れて貰えなかった顛末と似ているだけに、最後に翼に諭すシーンは「オマエも言うようになったのぅ」というなんかそんな気持ちになった。

CD

コミックス付録CDでまさかの新曲ですよ新曲。ジュリアの作った劇中曲ということでnano.RIPEのキミ子さん作詞で作曲もnano.RIPEのササキジュンさん(名義は「佐々木淳」)。恥ずかしながらnano.RIPE聞いたこと無いからこれがnano.RIPEサウンドなのかどうかまでは分からないけど(CD注文したのでちゃんと聞きます……)、アイマスの劇中世界的に言うならこれぞジュリアの曲、というところに翼のあの甘いんだけど力のあるボーカルが乗っていて、先へ進む渇望と前進を歌った歌詞に完全にやられてしまう。劇中のジュリアの作詞としてこの曲を捉えるとこの歌詞はジュリアから翼(人名)に送った翼(一般名詞)なのでは、というようなことまで思い始めるとだんだんリピート再生が止まらなくなってくる。要は滅茶苦茶いいのですよ。

でした

……とまぁいい話っぽく感想を書いたけど、もっと単純な話をするとこれだけまとめて大量にジュリア成分を摂取できることがなかなかないので、それだけでもシビれる良さがあるわけである。漫画もそうだし、CDのドラマパートにしてもそう。my songの歌い出しのジュリアソロパートだけでもああっとなるし、翼の「会場をぐるっと見渡してからこうニッて笑うの」(P.91)というジュリア評だけでもステージを想像してあああっとなる訳で、CDつきでなんと2000円!お安い!ふしぎ!!!という気持ち。

アイルはCDでこうやって聞けるだけですごい幸せなんだけど、ちょうど目の前にはミリオンの3rdライブがあることを思うと、どこかで聞けないかなとつい期待をしてしまう。幕張公演の1日目は瑞希翼ジュリアそれぞれの声優さん3人が揃う……とか、まぁ期待しすぎて外すと悲しいのであまり考えないようにはしてるけど、やっぱりライブで聞きたいなぁ。