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YURIKA ENDO FINAL LIVE-Emotional Daybreak- に行ってきた

表題の通り、今年の5月いっぱいで引退した遠藤ゆりかさんのファイナルライブが6/1にあって、行ってきた。感想をどう文章にしようかずいぶん迷ったのだけれど、言葉足らずでも何か書いておこうかなと思ったので書いておこうと思う。

yurika-endo.com


遠藤さんの個人名義のステージを見に行くのは初めてで、つまりこの日のライブがぼくの見た最初で最後の遠藤さんのソロライブだった。

遠藤さんがメンバーとして出演してい(て、そして遠藤さんが出演する最後のライブだっ)たバンドリの 5th ライブのときの感想にも少し通じるところがあるのだけれど、ファイナルライブとなれば感傷的なものになるかと構えて挑んでいたところ、確かに終わった後感傷的な気持ちに包まれたのだけれど、そういう感傷を抜きにしてもとても楽しくて、中身の濃く詰まった充実したライブだった。ライブ前に遠藤さんがレーベルのインタビューに答えていた内容を裏切らないというか、まさにこの通りと言ってしまっていいライブだったと思う。

遠藤 そうですね・・・・・必然的にエモいライブになると思います(笑)。でも、遠藤ゆりかのライブですからね、楽しくやりたいと思っています。いつも「一番自分が楽しもう!」と思ってステージに立ってきたので。そんな私だから、湿っぽくするつもりはないんです。でも、先に私が泣いていたらごめんなさい(笑)! とにかく後悔のないライブにしたいですね。ファンのみなさんに「俺の推し、最後までいけてたなー!」と思ってもらいたいですから(一同笑)。アルバムに収録されている曲も、声優として関わらせて頂いた曲もいくつか歌おうと思っているんですけど、私のすべてを感じてもらえるように、精一杯歌いたいと思っています。

遠藤ゆりか、ベストアルバムへの思いを綴ったラストインタビュー公開 | PONYCANYON NEWS | Page 2

開演直前のアナウンスが杉田智和さん*1だったのに笑い、関係者席に見たことのある人たちがちらほら見えるのを眺めているうちに始まったライブだけれど、デビュー曲にしてキラーチューンのモノクロームオーバードライブで開幕した瞬間からセンチメンタルではなく熱狂で赤坂BLITZは一瞬で大いに湧いた。こういう勢いある曲で分かり易く会場全体のボルテージが上がるのだけれど、格好いい曲、大人びた曲、可愛い曲と振り幅の広いそれぞれがそれぞれに見所たっぷりで、個人的に初めて生で聞く遠藤さんのパフォーマンスがどれもすごく良かった。それこそモノクロームオーバードライブあたりは期待を裏切らずという楽しさだったのだけれど、生で聞いて評価の大きく上がった曲には Grimm Truth を挙げたい。可愛らしくも挑発的な歌声と表情はとても素敵だった。

モノクロームオーバードライブ

モノクロームオーバードライブ

  • 遠藤ゆりか
  • J-Pop
  • ¥250

Grimm Truth

Grimm Truth

  • 遠藤ゆりか
  • J-Pop
  • ¥250

また、遠藤さんがきれいな人だとはライブ前から思っていたし、バンドリのライブでステージ上の遠藤さんを直接見たこともあったけれど、この日に"メンバーの一員"ではなくただ1人の主役としてステージに立つ遠藤さんの姿は、今までぼくの中で思っていた以上に綺麗で美しかった。はじまりのうた だったと思うけど、終盤でアルバム衣装で七色の照明のライトに照らされるところにはちょっとした神々しさじみた物を感じたくらいだ。

キャラクターソングあり、シークレットゲストのZAQさんの登場あり、と本編だけで20曲くらいある盛り沢山の内容で、その本編の最後はアルバムリード曲でライブタイトル同名の Emotional Daybreak 。遠藤さんの最後の新曲に込められた歌詞に、歌に、表情に、そして会場一体となるシンガロングと、いろんなことを感じて、いろんな記憶を胸に残した曲になった。

最初の方にも書いたように、ときどき表情の機微は見せつつも楽しいライブを終始ステージでみせてくれた遠藤さんだったけれど、1回目のアンコール(ベース弾き語りもあったのは流石集大成、という気持ちだった)を経てダブルアンコールで出てきたときの MC では、客席に背を向けて涙を堪える一幕もあった。当たり前なんだけど遠藤さんとしても期する思いは沢山あって、その上で最後のライブを楽しい物にしようとしているのだ、ということを露わに見せつけられてしまって、なおかつ本当にこれが最後だと改めて言われているようで、このシーンにはだいぶ心をやられてしまった。それでも(あるいは「だからこそ」)、そうやって涙を堪えた後は笑顔で最後まで走り抜けた遠藤さんの、エンターテイナーとしての意識には最後の最後にして改めて痺れさせられてしまった。ダブルアンコールの本当に最後は、この日のライブの1曲目でもあったモノクロームオーバードライブ。遠藤さんが駆け抜けた5年間は勿論確かな現実だったはずだけれど、歌詞の時は陽炎愛は幻想のように / はるか遠くかなたという一節が脳にこびりつく瞬間だった。

記憶を辿れば印象的な思い出はたくさんあるんだけど、最後の MC での、もう帰ってくることは無いかもしれないけど曲は消えずに残るから、という言葉は特に強く記憶に残っている。(といっても一言一句を覚えているわけではないんだけど。)去年の9月にみみめめMIMIのファイナルライブで、音楽は消えないから、ということを何度もMCで聞いたのがフラッシュバックする思いだった。勿論ぼくたち受け手からすれば、曲が残るなら引退しても我慢できるなんてことはないのだけれど、2年続けて違う人からそういう言葉を聞いたというのは心に深く刺さっている。

そうそう。ライブが終わった後気持ちで胸いっぱい、身体は疲労でからっぽの状態でホテルまで歩きながら改めて思ったのだけれど、今回のライブタイトル、そしてベストアルバムのタイトルとリード曲の曲名は「Emotional Daybreak」で、このファイナルライブは日暮れではなく夜明けなのか、というのはふしぎな感覚だった。インタビューでも少し触れられていて、そこに何を読み取るかはいろいろ選択肢がありそうだけれど、ラストライブを終えた先は朝焼けなのだ、というのは示唆的にも感じてしまった。(ライブが終わった後のリアルの光景が朝焼けだと物語性は高かっただろうけど、現実味を考えると流石に野暮というやつだろう)

「knight-night.(Alubm ver.)」で夜に眠るところから始まって、いろいろな楽曲たちとの思い出を辿りながら、最後に「Emotional Daybreak」で夜が明けていく・・・・・という感じで。

遠藤ゆりか、ベストアルバムへの思いを綴ったラストインタビュー公開 | PONYCANYON NEWS

ふとこのライブのことを思い出した時や、 iTunes のプレイリストで遠藤さんの曲を見かけた時に寂しい気持ちになることは勿論あるのだけれど、一方で、ライブを思い返したときに「楽しかったな」と素直に思い出せていて、大袈裟に言えばそのことに救われるような思いもある。そんな良い思い出を手元に残してもらったという意味でこのライブと遠藤さんには本当に感謝している。

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*1:開演前時点では名乗りがなかったけど声があきらかに彼で、終演後のエンドロールで確かにクレジットされていた